2015.04.23
ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドの「食品に残留する農薬等に関するポジティブリスト制度」
への対応について

日本ゼラチン・コラーゲン工業組合加盟各社(以下、加盟各社)は、以下のような対処によって、残留農薬等(農薬、飼料添加物及び動物用医薬品)に関するポジティブリスト制度に適合し、安心してお使いいただけるゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチド製品の供給に努めております。

1.原料管理

  • ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドは、牛や豚の骨や皮、魚の鱗や皮など、動物由来の原料から製造されますが、いずれも、食肉・食品生産の副産物として得られたものです。
  • 原料の由来となる動物は、当該原産国の食肉・食品に関連する規制や農薬等の使用基準、飼料規制等にもとづき、適切に管理・飼育されており、その履歴は、健康証明書等により明らかになっています。そして、すべてのゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドは、これらの原料証明書へのトレースが可能です。
  • 加盟各社は、原料サプライヤーと独自の売買契約を結び、安全で品質の良い原料の調達に努めてきました。ポジティブリスト制度の導入にあたって、本制度の主旨、規定された条件などをサプライヤーに周知し適正な原料供給を申し入れております。
  • 加盟各社は、定期的な品質監査などを通じ、原料サプライヤーの管理状況を把握しており、ポジティブリスト制度の準拠についても、継続的な指導、監視を行っております。

2.製品の残留基準

  • ポジティブリスト制度導入で多くの農薬等がリストに加わりましたが、適切な食肉生産に由来する原料から製造されたゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドに、それらの農薬等が残留することは基本的に無いと考えます。万一残留が認められたとしても、それは原料中の基準内残留農薬に起因するものと考えられます。
  • 原料である牛や豚の骨や皮、魚の鱗や皮は、食品の成分に関わる規格(残留基準)において、それぞれ「牛の食用部分」、「豚の食用部分」、「魚介類」に相当します。
  • 市場流通するゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドの多くは、乾燥品として製品化されています。ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチド製品に特定した残留基準は定められていませんが、これらの加工製品は、原料に規定される残留基準をもとに、乾燥等での濃縮率を考慮して、原料よりも高濃度の基準が適用されます。すなわち、乾燥ゼラチン、コラーゲン、コラーゲンペプチドの場合、原料の水分値との比較から、「牛の食用部分」、「豚の食用部分」、「魚介類」の基準値に対して約3~5倍高い数値として考慮できます。

3.製造プロセス

  • ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドの製造工程では、農薬等に該当する物質を使用しておりません。
  • 厚生労働省の広報で、食品素材に残存する農薬等は、水洗いと加熱調理によって減量させることができると記載されています。ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドの製造において、原料である骨、皮や鱗は、大量の水で洗浄され、また酸やアルカリによる前処理で精製されています。これらの精製加工工程を経ることで、水溶性残留物質の除去や化学的に不安定な物質の分解による減量が期待されます。
  • ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドは、高度に精製された純度の高いタンパク質で、タンパク質以外の物質は少なく、脂質も、0.3%(日本食品標準成分表)と低含量となっています。すなわち、油溶性残留物質の寄与も、相対的に低くなっています。

4.測定・監視プログラム

  • 厚生労働省は、『ポジティブリスト制度は、食品に残留する農薬等の分析を、食品事業者等に義務付けるものではなく、分析は残留の可能性などに基づき、判断される』との見解を示しています。
  • また、農林水産省は、農場での家畜の飼育において、飼料添加物や動物用医薬品が適切に使用されていれば、これらの残留問題は基本的に生じないとしています。
  • すなわち、適切に管理された原料から製造された製品に対し、すべての農薬等を、その都度測定で直接検査することは現実的ではなく、またその必要もありません。しかしながら、当組合は、製品および原料の監視プログラムとして「食品衛生法」、「食品、添加物等の規格基準」の改訂を監視し、加盟各社は必要に応じてモニタリングしております。

当組合は、加盟各社が常に適切に対処できるよう、最新の情報を入手し、また当局と密接に連絡を取りつつ対応を続けていきます。今後も安心してお使いいただける製品を、お客様にご提供するよう、常に努めてまいります。ゼラチン、コラーゲン及びコラーゲンペプチドをこれまで同様、長くご愛顧下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。