2006.04.13
ゼラチン・コラーゲンの農薬等の「ポジティブリスト制度」への対応について

日本ゼラチン工業組合加盟各社(以下、加盟各社)は、以下のような対処によって、農薬類(農薬、および飼料添加物、動物用医薬品)に関する新たな規制に適合し、安心してお使いいただけるゼラチン、コラーゲン製品の供給に努めてまいります。

1.原料管理

  • ゼラチンおよびコラーゲンは、牛や豚の骨や皮、魚の鱗、皮など、動物由来の原料から製造されますが、いずれも、食肉生産の副産物として得られたものです。
  • 原料の由来となる動物は、当該原産国の食肉に関連する規制や農薬類の使用基準、飼料規制等にもとづき、適切に管理・飼育されており、その履歴は、健康証明書等により明らかになっています。そして、すべてのゼラチンおよびコラーゲン製品は、これらの原料証明書へのトレースが可能です。
  • 加盟各社は、原料サプライヤーと独自の売買契約を結び、安全で品質の良い原料の調達に努めてきました。今回のポジティブリスト制の導入にあたっても、本制度の主旨、規定された条件などをサプライヤーに周知し、適正な原料供給を申し入れております。
  • 加盟各社は、定期的な品質監査などを通じ、原料サプライヤーの管理状況を把握してきました。今回のポジティブリスト制準拠についても、継続的な指導、監視を行なってまいります。

2.製品の残留基準

  • 今回のポジティブリスト制導入で多くの農薬等がリストに加わりましたが、適切な食肉生産に由来する原料から製造されたゼラチン、コラーゲンに、それらの農薬等が残留することは基本的に無いと考えます。万一残留が認められたとしても、それは原料中の基準内残留農薬に起因するものと考えられます。
  • ゼラチン原料である牛や豚の骨、皮は、食品の成分に関わる規格(残留基準)において、それぞれ「牛の食用部分」、「豚の食用部分」に相当します。
  • ゼラチン、コラーゲンは、一般的に、水分含量11%程度の乾燥品として製造され、原料である骨、皮より低水分の製品として流通しています。ゼラチン、コラーゲン製品に特定した残留基準は定められていませんが、これらの加工製品は、原料に規定される残留基準をもとに、乾燥等での濃縮率を考慮して、原料よりも高濃度の基準が適用されます。すなわち、乾燥ゼラチン、コラーゲンの場合、原料の水分値との比較から、「牛の食用部分」、「豚の食用部分」の基準値に対して約3~5倍高い数値として考慮できます。

3.製造プロセス

  • ゼラチン、コラーゲンの製造工程では、農薬、動物医薬品に該当する物質を使用しておりません。
  • 厚生労働省の広報で、食品素材に残存する農薬等は、水洗いと加熱調理によって減少させることができると記載されています。ゼラチンやコラーゲンの製造において、原料である骨や皮は、抽出に先立ち、大量の水(原料の数十倍量に相当)で洗浄され、また酸やアルカリによる前処理で精製されています。(酸では、pH1.5~4、アルカリでは、pH12.5以上)これらの精製加工工程を経ることで、水溶性残留物質の除去や化学的に不安定な物質の分解による減少が期待されます。
  • ゼラチンやコラーゲンは、高度に精製された純度の高いタンパク質で、タンパク質以外の物質は少なく、脂質も、0.3%(五訂食品成分表)と低含量になっています。すなわち、油溶性残留物質の寄与も、相対的に低くなっています。

4.測定・監視プログラム

  • 厚生労働省は、『ポジティブリスト制度は、食品に残留する農薬等の分析を、食品事業者等に義務付けるものではなく、分析は残留の可能性などに基づき、判断される』との見解を示しています。
  • また、農林水産省は、農場での家畜の飼育において、飼料添加物や動物用医薬品が適切に使用されていれば、これらの残留問題は基本的に生じないとしています。
  • すなわち、適切に管理された原料から製造された製品に対し、すべての農薬等を、その都度測定で直接検査することは現実的ではなく、またその必要もありません。しかしながら、当組合は、製品および原料の適切なモニタリングを目的として、監視プログラムの導入、運営を計画しております。
  • モニタリング対象の農薬、動物医薬品は、内外の最新の情報等を得て、調査・研究を行ない、適宜見直してまいります。

当組合は、加盟各社が常に適切に対処できるよう、最新の情報を入手し、また当局と密接に連絡を取りつつ対応を続けていきます。今後も安心してお使いいただける製品を、お客様にご提供するよう、常に努めてまいります。ゼラチン、コラーゲンをこれまで同様、長くご愛顧下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。